不毛地帯
[第5話]
11/12放送

――昭和34年12月。壹岐正(唐沢寿明)は社長の大門一三(原田芳雄)に退職願を提出するが受け取らなかった。大門は、川又(柳葉敏郎)に仕事で酬いるべきだ、と壱岐を説得する。在職することを決めた壹岐に、大門は鉄鋼部長のポストを与えた。

――昭和39年3月。
壹岐は鉄鋼部門で成功を収めていた。壱岐は大門に、会社全体の経営戦略を指示する部署の設立を進言する。すると大門はそれを壱岐に任せた。

――昭和42年4月。
会社全体の経営戦略を指示する業務本部が成果を挙げ、壱岐の評価はますます高まった。大門は壱岐を常務取締役へと昇進させた。すごい出世だ。それに対して、副社長・里井(岸部一徳)たちは反発するようになっていた。

その頃、海外では中東情勢が緊迫していた。その情報をつかんだ壱岐たちは、三次中東戦争を懸念する。同じ頃、2次防FXのときに熾烈な争いを繰り広げた鮫島(遠藤憲一)も、中東戦争突入に備え始める。

ある日の夜、壹岐と千里(小雪)は待ち合わせをした。一緒に食事をする壱岐と千里。千里の話では、比叡山で修行をしている兄・清輝(佐々木蔵之介)のことで相談したいという。清輝が結核に罹ったが治療をせず、修行を続けているというのだ。千里が治療をするように説得しても聞かないらしい。壱岐は時間を作って一緒に清輝を説得することを約束する。

食事の後、壱岐は千里を連れて、クラブ『ル・ボア』へと立ち寄った。そこに華僑の大貿易商・黄(石橋蓮司)と結婚したはずの紅子がいた。紅子は壱岐が女性を連れているのをみると「ガールフレンドに会うのは初めて」と壱岐をからかう。壱岐は紅子を「失礼だ」と注意するが、千里は一向に構わない様子だった。

壹岐が帰ろうとすると紅子は引き止めると中東情勢の話をはじめ、有力な情報を伝える。

千里を送り届けて帰宅すると、その後に長女・直子(多部未華子)が青年に送られて帰ってきた。なんと、その少年は鮫島の息子(石田卓也)だったのだ。壱岐は直子に「彼とは交際しないように」と強く叱った。

ある日、壹岐は紅子からの情報を元に竹中莞爾と話をして、竹中から紹介してもらった日東交易会社社長・安蒜(団時朗)と会い、イスラエル産オレンジの輸入を条件に、イスラエルの情報を聞きだした。

壱岐は会社に戻ると、安蒜から頼まれたイスラエル産オレンジの輸入を食品部に依頼する。しかし、それを知った里井は横槍を入れようと画策する。

その頃、兵頭は黄に会っていた。紅子が「黄が日本に来る」という情報を兵頭(竹野内豊)に知らせたのだ。黄は「スエズ運河は必ず封鎖される」と兵頭に告げると、近畿商事に1万トン級の戦標船を5隻用意してほしい、と依頼してきた。しかし、期限はあさってまで、価格も1隻40万ドル以下と、条件的には非常に厳しいものだった。しかし、壱岐は船舶部に手配するように兵頭に指示をした。

壱岐は、「第三次中東戦争はイスラエルの勝利で終わる」という業務本部の分析結果を大門と里井に伝えるが、里井はアラブ連合の方が戦力的に優位だと反発する。さらに壱岐が独断で動くことを非難した。しかし大門は、壱岐の話を聞き入れ、ただちに緊急役員会を招集するよう命じた。

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キャスト
壹岐正 / 唐沢寿明(からさわとしあき)
1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
兵頭信一良 / 竹野内豊(たけのうちゆたか)
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐佳子 / 和久井映見(わくいえみ)
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐直子 / 多部未華子(たべみかこ)
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
川又伊佐雄 / 柳葉敏郎(やなぎばとしろう)
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。

貝塚道生 / 段田安則(だんたやすのり)
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
芦田国雄 / 古田新太(ふるたあらた)
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
谷川正治 / 橋爪功(はしづめいさお)
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
竹村勝 / 中丸新将(なかまるしんしょう)

秋津紀武 / 中村敦夫(なかむらあつお)
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。

秋津精輝 / 佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
秋津千里 / 小雪(こゆき)
大陸鉄道司令官・秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に「父の最期について話を聞かせてほしい」と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
久松清蔵 / 伊東四朗(いとうしろう)
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
田原秀雄 / 阿部サダヲ(あべさだを)
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
浜中紅子 / 天海祐希(あまみゆうき)
クラブ「ル・ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
鮫島辰三 / 遠藤憲一(えんどうけんいち)
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。

大門一三 / 原田芳雄(はらだよしお)
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
里井達也 / 岸部一徳(きしべいっとく)
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
松本晴彦 / 斉木しげる(さいきしげる)

小出宏 / 松重豊(まつしげゆたか)
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
海部要 / 梶原善(かじはらぜん)

塙四郎 / 袴田吉彦(はかまだよしひこ)


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